知っておきたいIVROの基礎知識

IVROとは下顎枝垂直骨切り術のことで、下顎骨に対する外科矯正手術の一つです。下顎が前に出ている人、受け口、しゃくれなどの治療に用いられます。 下顎骨の代表的な施術方法に下顎枝矢状分割法 (SSRO)がありますが、これは術後にオトガイ神経麻痺などの知覚異常をきたしやすいという欠点があります。一方IVROはこの欠点がなく、顎関節症状のある症例に対して有用であること、下顎非対称症例に有用であることから、今日では世界中で広く用いられてきています。IVROの手術は全身麻酔で行われます。日帰りまたは一泊入院で施術が可能です。手術直後は下顎がかなり後退したような状態になってしまうので、顎間ゴムで前に引き出してくるということがあります。顎間ゴムは1~3ヶ月ほど24時間装着(食事時以外)が必要で、その後3~6ヶ月も夜間のみの矯正器具装着が必要です。費用はおよそ100~200万円とのことです。

わかりやすいIVROの実際の施術手順

IVROの施術手順は、まず止血のため麻酔を施術部分に浸透させます。次に口の中から頬粘膜に5㎝程度切開します。 粘膜筋を剥離して下顎枝外側と内側の骨を露出させた後、下顎枝を垂直に骨切りします。次に下顎関節頭を含む後方骨片を外側にずらし、下顎全体を後方に移動します。 歯にバイトプレートを装着して計画した位置で顎間固定します。 これで手術は完了です。術後は外科的矯正治療において、顎間ゴム(トレーニングエラスティック)の使用と開口訓練などを行い、良好な噛み合わせと顎機能の安定を図ります。顎間ゴムが必要な理由は、この方法だと骨切り骨片間の固定を行っていないため、筋肉の動きなどにより容易に移動してしまうからです。そのため顎骨が安定するまで好ましい位置を保つ必要があり、下顎枝矢状分割法 (SSRO)よりは長い後療期間がかかるのです。

IVROのメリット・デメリット

IVROは施術方法として神経を傷つけることがなく、術後の痺れや知覚異常を生じにくいことが最大のメリットです。また、顎関節症症状を有する症例に有用であることも特徴であります。一方デメリットは、完治までの時間が相当にかかるということです。お仕事、特に接客業をされている方は、1ヶ月ほど外勤はできないかもしれません。術後の食事も、顎間ゴム固定中は口が開かないため流動食になります。歯磨きも大変です。専用の歯ブラシの使用や、ポイック水という水によるこまめなうがいが必要とのことです。また骨を切断する大きな手術ですので、腫れは2週間ほど続きます。加えて顎間ゴムによる固定もかなりの痛みを伴いますので、それなりの覚悟で臨むことをおすすめします。ただこのような苦労をする分、効果は抜群です。目に見える変化があり、自分に自信がつきます。時間など余裕がある方は試してみると良いでしょう。